Yoko
(更新)
「〜しなくちゃ」を表す英語表現には “have to” “must” “need to” があります。どれも一度は耳にしたことがありますよね。
では、以下の3つの「英語の勉強をしなくちゃ」を表す文章のニュアンスの違いは分かりますか?
え? 全部いっしょじゃないの? と思った方。それでは、“have to” “must” “need to” それぞれが持つ意味・ニュアンスを詳しく見ていきましょう!
“have to” が表す「〜しなくちゃ」は義務的な「〜しないといけない」です。
自ら進んでではなく、外部からの何らかの要因があって「〜しなくてはいけない」と考えるに至ったり、選択の余地がない「〜せざるをえない」を表すのが “have to” です。また、時に「気がすすまないけど…」というニュアンスを含むことがあります。
通常 “have” は「ハヴ(həv)」と読みますが、“have to” の場合は濁らず「ハフトゥ(ˈhæf.tu)」となるので注意しましょう。
また、この意味での過去形「〜しないといけなかった」は “had to” になります。
“must” が表す「〜しなくちゃ」が “have to” と大きく違うのは、話し手の意思が強く表れている点です。“must” は話し手の自発的な「〜しなくちゃ」と思う強い意志・意見を表します。
“must” は “I(自分)” 以外を主語にして使うとかなり強い表現になるので、軽いアドバイスには使わないほうがいいですが、逆に何かを強くオススメする場合にはよく使われます。
また、“have to” が話し言葉でよく使われるのに対して、”must” は規則や指示、看板・注意書きなどの「〜しなくてはいけない」に使われることが多い表現でもあります。
さらに、この意味の過去形「〜しなくちゃいけなかった」には、通常 “had to” が使われます。文法的には “must have done” という形もありますが、これは「〜してしまっているに違いない」という推量を表す、別の意味で使われることがほとんどです。
“need to” が表す「〜しなくちゃ」は、必要性にポイントが置かれています。
何かをするためや、何かを達成するために「〜する必要がある」という意味での「〜しないといけない」を表します。義務や強制ではないので、嫌々しなくてはいけないというニュアンスは含まれず、ただ単にそうする必要があると客観的に表すのが “need to” です。
過去形では単純に“needed to”を使います。
“have to” “must” “need to” それぞれの「〜しなくてはいけない」のニュアンスの違いはつかめましたか? これらは否定形でもよく使われるので、次はそれぞれの否定形の意味・ニュアンスの違いを見てみましょう。
“don't have to” の意味は「〜しなくてもいい」「〜でなくてもいい」です。そこには「義務ではないので、(したかったらしてもいいけど)しなくてもいいですよ」というニュアンスが含まれています。
また、「〜しないといけない訳ではないので、無理しないでくださいね」と言いたい場合に使われることも多い表現です。
“must” を自分以外の人に対して使うときには「〜しなくちゃいけない」という話し手の強い意志を表す、と先ほど紹介しました。
その否定形である “mustn't (=must not)” は「〜してはいけない」という強い禁止を表すので、こちらも相手に対して使う場合は少し注意が必要な表現です。
ちなみに “mustn't” は「マスント(/ˈmʌs ənt/)」と読むので、読み方にも注意してくださいね。
“need to” は義務や強制ではなく、そうする必要があると話し手が客観的に思っている「〜する必要がある」でした。
その否定形の “don't need to” もそうする必要がないという意味での「〜しなくていい」になり、話し手の客観的な考えを表します。
それぞれの否定形の違いは理解できましたか?
Q.では、ここで1つ問題です。以下の会話はどんな意味になるのか考えてみてください。
A:Smoking is not allowed in here, so you mustn't smoke here. You can smoke outside if you want to, but you don't have to.
B:Thanks, but I’m okay.
A.それでは、正解です。
A:ここは禁煙だから、ここでタバコを吸ってはいけないよ。もし吸いたかったら外でなら吸えるけど、(無理に)吸わなくていいですよ。
B:ありがとうございます。でも、今は吸わなくていいです。
“have to” “must” “need to” の違いは理解できましたか?
それでは最後に復習を兼ねて、冒頭に登場した3つの文章の意味の答え合わせをしましょう。
I have to study English.
「(義務的に)英語の勉強をしなくてはいけない」→ しないといけないと思うに至った要因は外部にある(親に英語を勉強するよう言われた、など)。嫌だけどしないといけない、と思っている可能性もある。
I must study English.
→ 「(強い意志)英語の勉強しなくちゃ!」自分の中から出てきた「やるぞ!」という意志を表す。
I need to study English.
「(必要だから)英語の勉強をしないと」
→ 試験に合格するため、などの目的があって勉強の必要があると客観的に言っている。感情はニュートラルで、嫌々というニュアンスは含まれない。
違いは微妙ですが、意識してしっかり使い分けてみてくださいね!